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書院

日々是日常

生活史。平凡な日々も歴史学にかかると深遠な世界に(笑)。
『三下り半』『対馬藩江戸家老』

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dot 『三下り半』

高木侃 / 平凡社
--- 感情に始まり、勘定に終わるものについて ---

大量の三下り半を収集した作者による江戸時代の離婚事情です。地域ごとの特色を知ることはできませんが、網羅的な研究といえます。考えてみればアナール学派の数量史と同じ手法ですね。離婚がもっぱら男の側によって決定されたという当時の先入観を問い直し、もっと離婚には色々なパターンがあったと結論しており、着眼点といい、手法といい当時としては割に新しい研究だったと言えます。


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dot 『対馬藩江戸家老』

山本博文 / 講談社
--- 家老の憂鬱 ---

歴史とは「日常」という無敵の怪物との終わりなき「波瀾万丈」の戦いであるいうのが私の持論である。リュシアン・フェーブルも歴史家は「生活」すべきである、と言っておりますし、やはり「日常」の土台の上に歴史というやつは組み上がっていると考えるわけです。それが分かっていない歴史マニアなお子様は多いのですけれどね。
てなわけで天下太平な江戸時代、藩の財政に暗雲の兆しが見え始めた中、「朝鮮通信使の接待」を「日常生活」内の出来事として淡々とこなしていったある対馬藩江戸家老のお話。地味な、しかも頭も胃も痛い仕事に追われるのも、やはり「波瀾万丈」だと思います。


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