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書院

歴史古典こてん

いわゆる古典、名著。
著述された時代と不可分でありながら、時代を超える書物達。
『中世の秋』『地中海』『オリエンタリズム』

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dot 『中世の秋』

上・下
ホイジンガ / 中公新書
--- でました正統派古典! ---

中世末期を近代の始まりと見るか、中世の終わりと見るかによって賛否両論ある。要するに論争の基点となる本なわけですね。
題名は知っていても実際に読んだ人はあまりいないかも‥‥‥と思っていたら、この本ではないけれど妹のバンド仲間の東大生が同著者の『ホモ・ルーデンス』はちゃんと読んでいた。やっぱ東大生はこーでないとね。


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dot 『地中海』

1 - 10
ブローデル / 藤原書店
--- これも古典となりつつある一冊。いや十冊 ---

面白いし、歴史書にしては取っつき易いのですが‥‥‥量べらぼうに多いぞ(涙)
以前からハードカバーで出版されてましたがこの量の多さがネックとなって普及度はいまいちでした。しかぁし、1999年に入ってなんとA5というお手軽なサイズで登場! アナール学派という歴史学派の名著として誉れ高い一冊。
余談だが「アナール学派」は検索をかけても殆どヒットせず、しかも、「アナール」で検索すると数千件のあだるとなサイトが引っかかるという実に厄介な単語である。
とか、思っていたら、2000/01/15現在主だったサーチエンジンでは検索できるようになっていました。良かった良かった。


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dot 『オリエンタリズム』

E .W .サイード / 平凡社
--- 自らを解体・分析される恐怖 ---

西洋が東洋を支配する文化的装置としての"オリエンタリズム"。この本は特にアラブを対象としたオリエンタリズムについて、アプローチ方法の変容過程と変わらぬ思想的本質について語った本である。この本が学際を越えて、世界的な衝撃と大論争をもたらし、現在でも各学会に大きな影響を与えている。いわば「新しい古典」というタイプ。
読んでの率直な感想は「歴史学をやっている人間にはイタい本」。なにがイタいって、つい四半世紀前までの主だった歴史研究方法である文献学が"オリエンタリズム"を補強する構造に繰り込まれ易い手法だったのだから。以前の権威ある文献研究を引用して論を構築してゆく文献学は、研究方法としては非常に有益なだけに自覚がないと"オリエンタリズム"の言説に簡単に吸収されてしまうということ。
と、同時に、これらの"オリエンタリズム"は西洋の専売特許ではないとも著者は語る。私たちが他の文化を見るときに、紋切り型のレッテルが貼られた、見ていたい情報だけを見てはいないか、という問いかけが突きつけられている。西洋が東洋をオリエンタリズムが提示するフィルター"東洋とは‥‥である"で見るように、東洋が西洋をオキシデンタリズム(ただ対象の異なるだけのオリエンタリズムの双子)に基づいて見てしまっても良いものだろうか? と。
無自覚な自分を分析され、その結果を自覚させられる本です。


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