新書です。探せば意外とあるものです。
『チンギス・カン』
『日本社会の歴史』『新書アフリカ史』『グレートジンバブエ』
『コーヒーが廻り 世界史が廻る』『異端カタリ派』
『チンギス・カン』 |
白石典之 / 中公新書
--- 時に文献よりも雄弁に ---
考古学や地質学、気候学などとの連携に基づくモンゴル史の本。モンゴル高原の人々の移動が当時の気候や生産物、貿易路と密接に関わっていることや、建築物の基壇の測量から度量衡の変更があったことを懇切丁寧に説明している部分、あるいは諸子の配置について、物資の輸送距離の観点からチンギスの戦略性に触れるくだり等、東南アジア史、または原アメリカ史やアフリカ史の発想に近い気がする(いずれも考古学と深く結びついた分野ではある)。
文献考証中心の杉山正明氏よりは、実はこの人の方法論の方が好きだったりする。
『日本社会の歴史』 |
上・中・下
網野善彦 / 岩波新書
--- 日本の歴史ではなく日本「社会」の歴史 ---
事件を追うのではなく、社会とそこに生活する人々の心のありようの変化を作者は追いかけている。とりあえず江戸時代までが本書の範囲。
異論は多いけれど、読んでおくと新たな地平が開けるかも。
『新書アフリカ史』 |
宮本正興・松田素二 / 講談社現代新書
--- すごいっすねー ---
日本におけるアフリカ史の良書が新書で読めるってのは幸せなんでしょーねー。
でも高校程度の世界史の知識は必須なので、いきなりこれを読み始めると絶対に挫折するよー‥‥‥やばかった人間の体験です。
『グレートジンバブエ』 |
吉國恒雄 / 講談社現代新書
--- アフリカもの第2弾 ---
アフリカはアフリカでも現代のジンバブエ近隣、つまり東南アフリカに的を絞った好著。考古学、民俗学、地理学といわば歴史に隣接する学問を駆使した概説です。
『コーヒーが廻り 世界史が廻る』 |
臼井隆一郎 / 中公新書
--- 一点突破 ---
コーヒーに観点を絞って近代社会成立の過程を描こうとした力作。
このタイプの本は全て事象の要因を本のテーマで説明しようとして失敗する本が多いのですが、この本に関して言えば上手くバランスを取っています。きちんとコーヒーのかかわっている部分だけを抽出しているので、甚だしい誤解もしないで済みますし。まぁ、私もコーヒー党なのでこういう本があると嬉しいです。
『異端カタリ派』 |
フェルナン・ニール / 白水社文庫クセジュ
--- ある異端の抵抗 ---
ヨーロッパ中世のキリスト教異端カタリ派の興亡を語った本。
資料として信頼できるかというと、いまいち比較出来るものがないのでよく分かりません。とてつもない間違いはなさそうですが。とまれ、フランス朝廷との攻防は面白いし、熱くなれます。
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