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書院

未知の生物誌

まぼろしの住人たち。
『へんないきもの』『フューチャー・イズ・ワイルド』『鼻行類』
『平行植物』『アフターマン』

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dot 『へんないきもの』

早川いくを / バジリコ株式会社
--- なまものもうそう ---

生物で妄想する本であって、生物を想像する本じゃない‥‥ということで、ちょっとここで紹介するにはひよったのですが、他に載せるのも難しいのでこのカテゴリに放り込むことにしました。
良くも悪くも時事ネタとツッコミがあふれた、Webのネタサイトをそのまま印刷したような本です。


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dot 『フューチャー・イズ・ワイルド』

ドゥーガル・ディクソン&ジョン・アダムス / ダイヤモンド社
--- もっと遥か未来で生物学 ---

『アフターマン』と同コンセプトのテレビ番組を書籍化したもの。おなじみの生物が絶滅していたり、今は目立たない意外な生き物が繁栄していたりする点では同じだが、『アフターマン』よりもタイムスパンが長い。その分、大陸移動や気候変動の振幅を大きくし、珊瑚の絶滅と紅藻の進化のように、『アフターマン』ではやらなかった生物層の基盤をひっくり返す試みも行われている。
昆虫がこの世の春を謳歌し、魚が空を飛び、巨大なイカが森をのし歩く異質な遠未来の光景は、私のような人種を魅了してやまない‥‥のだが、欲を言えばもう少しCGに実物っぽさが欲しかったかな。


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dot 『鼻行類』

ハラルト・シュテュンプケ / 平凡社
--- 鼻で色々やってみた ---

鼻行類という絶滅してしまった謎の動物種についての真面目な専門書。肉食から草食からなんだかよく解らないものまで鼻を手足のように使う生き物が紹介されている。鼻で歩くもの、跳ね回るもの、触手のように使うもの、穴を掘るもの、鼻を花に擬態させるもの(笑)‥‥「生物のこの機能を鼻で代用したらどんな生物になるか」という発想をベースにアイデアを惜しげもなく開陳しています。
実によくできた傑作です。挿入図も素晴らしい。こんなに完成度が高いと、欺されやすい人は本当に信じてしまうでしょう。ちなみに、水木しげるが此奴等を何種類か描いていました。これがまた画風とよくマッチしているのです。ちょっとミスがあるけどね。


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dot 『平行植物』

レオ・レオーニ / 筑摩書房
--- 次元の狭間で植物学 ---

常識上存在しない、しかし存在するかもしれない存在について言及し、蘊蓄を語った「未確認生物誌」とでもいえるたぐいの本は私のツボである。そりゃあもう、小学生の頃から宇宙生物に夢中になっていたわけですから、我ながら筋金入りかも知れません。
さて、この本は生物は生物でも植物を扱ってます。しかもかの平行植物は違う次元に存在するらしく、物質や時間というものに全く頓着しません。こうなると植物どころか生物かどうかも怪しいものですが、作者は主張しています。植物っぽいから植物なんだ、人間がこれは植物だと認識するから植物なんだ、と。
‥‥‥読者が納得するかどうかはともかくとして、作者は博物学と民俗学、神秘学の手法で平行植物の存在を読み解いてゆくため、各植物の紹介はバリエーションがあって飽きさせない。
ちなみに作者はあの名作絵本「スイミー」の原作者。この本のイラストや表紙のブロンズ塑像も彼の作品である。
1999年10月死去(1999/11/11追記)。


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dot 『アフターマン』

ドゥーガル・ディクソン / 太田出版
--- 遙か未来で生物学 ---

人間が滅亡しました。でも地球は残っています、動物たちも‥‥そして5000万年後、なまものこんなんなりましたという図鑑。
架空生物達の解説は生物学や進化理論に基づいているので、生き物たちのリアリティという点では「平行植物」以上。イラストも博物誌調で美しいです。昔、TVでちゃちな特集が放映されていた記憶が。それはともかく、CD-ROMでCG化したら私はきっと買うでしょう。
同じ作者による「新恐竜」「マン・アフターマン」が訳されています。本が見つかったらそのうち。


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