猫はネコ。ねこ以外のなにものでもない。
『猫の地球儀』『猫の地球儀その2』
『猫の地球儀』&『猫の地球儀その2』 |
秋山瑞人 / メディアワークス
--- 人間がでてこないSF ---
SF界にはネコSFなどというサブジャンルがあります。どういう訳かネコが主人公だったり、または主人公を凌ぐ存在感を放っていたりする不思議なジャンル。そのネコSFの伝統を受け継ぐ一作。
人類絶滅後、人の残したロボットと高い知能を持った猫たちが人工衛星コロニーで生き延びていた、という設定と随所のさりげないSF的説明がきっちり組合わさって、なかなか世界構築がよくできている作品。命名感覚が冴えています。焔(ほむら)とか幽(かすか)とか。
実現するには他人に大変な迷惑しかかけられない夢があって、それでも自分のために夢を叶えようとするのか? というシンプルなテーマは、"夢"全面賛美が常識である中で意外と見過ごされている問題提起でしょう。電撃文庫というヤングアダルト系の本の割にバッドエンディングなのですが、なかなか含蓄のある終わり方をしているのが良。
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